第3回定例会終わる!


今回の議会には、いろいろ新しいことがありました。共産党区議団が、2本の条例提案を、第2回定例会に次いで提出したこと。始まりと終わりに意見書の提案をしたことです。はじめは、民主党が戦争法案について、慎重審議を求めるものを5人で提出。共産党は、廃案を求める意見書を3人の女性議員の賛同で提出しました。民主党案は19人、共産党案は15人(提案者プラス民主党3人)の賛成でした。9月19日の強行採決を受け、最終日にまた意見書を出そうということになりましたが、ここで新たな動きが。なんと、維新の党が、廃止に賛成できないが、せめて抗議をする決議を出したい、と賛同者を募ることになりました。維新案には3人が賛同して5人で提出、共産案には12人の賛同で提出されました。共産案には民主党も入れて17人、維新案には19人の賛成でした。廃止の共産案に民主党が全員賛成して、2人前進しました。政治は変わることを実感しました。

意見書は次のとおりです。

強行採決に厳しく抗議し、安保関連法の廃止を求める意見書

 

安倍政権が、本年9月19日、国民多数の反対を無視して「安保関連法」の採決を参議院本会議で強行しました。

しかし、4か月近い国会審議を通じて明らかになったのは、安保関連法が立憲主義を否定する憲法違反の法律だということです。事実、安保関連法については、圧倒的多数の憲法学者や弁護士、元内閣法制局長官ら、法律の専門家が憲法違反だと断じています。「憲法の番人」である最高裁判所の元長官も、「違憲」と指摘しています。

国民、区民の安保関連法反対の世論と運動は大きく広がりました。また、多くの地方議会でも、超党派による強行採決阻止の意思表示が行われました。

安保関連法成立後の世論調査でも「反対」が「賛成」を上回り、「説明不足」は約8割に及んでいます。

よって、大田区議会は、国会及び政府に対し、強行採決に厳しく抗議するとともに、先の国会で成立した安保関連法を速やかに廃止するよう強く要請します。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

 

年月日

 

衆議院議長

参議院議長

内閣総理大臣

総務大臣

外務大臣

防衛大臣

内閣官房長官

安全保障法制担当大臣

 

大田区議会議長名

その後、佐藤伸議員が意見書の賛成討論を行いました。予想通り大変なヤジと怒号に見舞われましたが、シンとする場面もあり、現在の激動の情勢を反映した討論になりました。

討論は次のとおりです。

意見書・抗議 賛成討論                 2015.10.09

日本共産党大田区議団を代表して、議員提出第15号議案 強行採決に厳しく抗議し、安保関連法の廃止を求める意見書、議員提出第16号議案 安全保障関連法の採決に抗議する決議に賛成の討論を行います。

昨日・10月8日、東京都議会の、日本共産党、民主党、維新の党、生活者ネットと無所属の2つの会派の合計6会派・42人の都議会議員が「強行採決にきびしく抗議し、安保関連法の廃止を求める提言」を発表しました。「提言」は、安倍政権が国民多数の反対を無視して、「安保関連法案」(戦争法案)の採決を参院で強行したことに抗議。「国会審議を通じて明らかになったのは、安保関連法案が立憲主義を否定する憲法違反の法案だということです」と批判し、「民主主義を守り抜き立憲主義を取り戻すため、先の国会で成立した安保関連法の廃止を目指し、都民・国民の皆さんとともに、引き続き全力をつくします」と決意を述べています。

安全保障関連法を審議した、国会・参院特別委員会で自民・公明党の与党は、むき出しの暴力で議員の質問と討論の権利、そして表決権までを奪い、戦後日本の歩みを大転換し、多くの日本人の命を危険にさらす法律、日本国憲法に明らかに違反する法律を、強行した罪はあまりにも重いものです。

賛成の第一の理由は、集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法・戦争法は、日本国憲法第9条を真っ向から蹂躙(じゅうりん)するものだからです。そもそも、戦争放棄、戦力不保持、交戦権否認を規定した憲法9条の下で、他国の戦争に加担する集団的自衛権の行使が認められる余地は、寸分たりともありません。
日本が武力攻撃を受けていないにもかかわらず、海外で武力を行使することになれば、日本の側から武力紛争を引き起こすことになります。国際紛争を解決する手段として、国権の発動たる戦争と武力による威嚇、武力の行使を禁じた憲法9条への明白な違反になります。
古賀誠・元自民党幹事長が「過去の戦争への反省もなく、深みのある議論もなく、先人や先達(せんだつ)が積み重ねてきた選択への敬意もなく、またそれによってもたらされることへの責任と覚悟もないままに、この解釈改憲を実行するならば、将来に重大な禍根を残すであろう」と発言されるなど、歴代政権の憲法見解の根幹を百八十度転換し、数の力で押し通したことは、立憲主義の破壊、法の支配の否定で、断じて許されるものではありません。
国会での審議を通じ、政府の論拠はことごとく崩壊しました。 最高裁砂川判決には集団的自衛権への言及(げんきゅう)はなく、引用部分は判決を導き出す論理とは直接関係のない「傍論」(ぼうろん)であることを政府自身が認めました。安倍首相は「ホルムズ海峡での機雷掃海」を、衆議院では集団的自衛権行使の典型例としてあげ、「それ以外は念頭にない」とまで述べていたのに、参議院審議の最終段階では「現実には想定していない」と全面撤回しました。
米軍等の武器等防護の規定を新設し、平時から米軍の空母や爆撃機の護衛を可能としていることも重大です。地理的・時間的限定なく、国会の関与もなく、防衛大臣の判断一つで、集団的自衛権の行使にふみこむことを可能にする内容であり、到底許されるものではありません。
集団的自衛権は、先進国が海外での権益を守るために考え出された概念で、アメリカの主張で国連憲章に盛り込まれたことが、中央公聴会のなかで指摘されました。アメリカのベトナム戦争や、旧ソ連のアフガン侵攻など、大国による軍事介入の口実とされてきた集団的自衛権の行使に、日本がふみこむことは、アメリカの無法な戦争に、自衛隊が武力行使をもって参戦することにほかならず、その危険性は計り知れないものです。
賛成の第二の理由は、米軍などへの軍事支援は、政府が憲法上、許されないとしてきた武力行使との一体化そのものになっているからです。「周辺事態法」を「重要影響事態法」にして地理的制約を取り払い、「国際平和支援法」も制定して、地球の裏側であっても米軍支援を可能にすることは、断じて容認できません。
法律が規定をする補給や輸送、修理・整備、医療、通信などの活動は、武力行使と一体不可分の「兵たん」であり、戦争行為の必要不可欠の要素であることは、国際的にも軍事的にも常識中の常識です。
政府はこれまで「『非戦闘地域』であれば武力行使と一体化しない」などと強弁してきましたが、その建前さえも取り払い、現に戦闘行為が行われている現場でなければ軍事支援を可能とすることが今回の法律に書き込まれました。
自衛隊が輸送する武器・弾薬に何ら限定はなく、米軍のミサイルや戦車はおろか、非人道兵器であるクラスター弾や劣化ウラン弾、核兵器であっても法律上は排除されない。まさしく歯止めなき米軍支援であることも、日本中に衝撃を広げました。
賛成理由の第三は、今回の戦争法が、日米新ガイドラインの実行法であり、アメリカの戦争に、いつでも、どこでも、どんな戦争でも、自衛隊が参戦するためのものになっているからです。
自衛隊・統合幕僚監部の内部文書には、日米両政府全体にわたる「同盟調整メカニズム」を常設し、そこに「軍軍間の調整所」を設置することが明記されています。これは、アメリカが世界のどこであれ、戦争を引き起こした場合に、米軍の指揮下で、あらかじめ策定した作戦・動員計画に基づき、自衛隊・政府・自治体・民間事業者がアメリカへの戦争協力を実行するものです。まさに「自動参戦装置」であり、わが国の主権を投げ捨てる法律ではありませんか。
国会で、自衛隊の統合幕僚長の訪米会談録も明るみに出ました。河野(かわの)統幕長は昨年12月に訪米し、法律の今年夏までの成立を米軍に約束していた。紛れもなく、「軍の暴走」であり、この法律が、自衛隊が海外で米軍と戦争するためのものであることを、これほど露骨に示すものはありません。

今回の安全保障関連法が憲法違反であることは、いまや明々白々です。圧倒的多数の憲法学者をはじめ、歴代内閣法制局長官、最高裁元長官、裁判官のOBが、次々と怒りに満ちた批判の声を上げています。学生が、研究者が、文化人が、ベビーカーを押したママたちが、そして戦争を体験した高齢者が、思い思いの自分の言葉で反対の声を上げました。6割を超す国民が、先の国会での安保法制の成立に反対し、
戦争法が強行された後も、どの世論調査でも「政府の説明不足」という声は7割から8割にのぼっており、国会での審議は尽くされたとは到底いえない状況です。

大田区では、1984年に世界の恒久平和と人類の永遠の繁栄を願い、「…平和憲法を擁護し核兵器のない平和都市であることを宣言する」『平和都市宣言』を行っています。この平和都市宣言をしている大田区の区議会として、今回の憲法違反の安全保障関連法の廃止を求める意見書の採決と採決に抗議する決議を率先して行い、国内外にその姿勢を示そうではありませんか。

参院・地方公聴会で弁護士の水上貴央(みずかみ・たかひさ)さんは、
「国会は立法をするところです。政府に白紙委任を与える場所ではありません。ここまで重要な問題が審議において明確になり、今の法案が政府自身の説明とも重大な乖離(かいり)がある状態でこの法案を通してしまう場合は、もはや国会に存在意義などありません。これは単なる多数決主義であって、民主主義ではありません」と述べられました。 自民党・公明党の政府与党はこの重い指摘にどうこたえるのでしょうか。
憲法を踏みにじる政治は、日本の社会と国民を確実に変えつつあります。戦後の歴史に例を見ないような規模での国民的な運動、新しい政治を求める怒濤(どとう)のような動きは、誰にも押しとどめることはできません。そしてこの流れは、必ずや自民党、公明党の政治を打ち倒すまで続くでしょう。

日本共産党は、戦後最悪の安倍政権を打倒し、この国の政治に立憲主義、民主主義、平和主義を取り戻すため、あらゆる政党、団体、個人のみなさんと力をあわせてたたかいぬく決意を表明し、憲法違反の希代の悪法、安全保障関連法・戦争法に対する怒りをこめ、二つの議案への賛成討論とします。

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