区民の願いを実現するために(3定)


請願陳情を不採択にした委員長報告について、討論しました。
陳情討論     2011年9月28日             金子悦子

私は、日本共産党区議団を代表して、ただいま上程されました、23第80号 区民のいのちを守るため安心してかかれる国保制度にすることを求める陳情、23第83号 国民健康保険料の減免措置の拡大、値下げに関する陳情、23第89号 所得税法56条廃止の意見書の提出を求める請願、 23第84号 育鵬社の歴史、公民教科書の採択を見直し再検討を要請する陳情、23第82号 大田区議の海外訪問を中止し、その費用を大震災の復興・救援にあてることを求める陳情を、不採択とした委員長報告について採択することを主張して、反対の討論を行います。
23第80号は、2年間の軽減措置の延長、恒常的な措置として負担増を抑えること、保険料の減免措置を拡大すること、区内の団体が国保料の改定に関しての説明を要望した場合に応じること、相談窓口を設置して個別の相談に応じること、18歳まで75歳以上の医療費の窓口負担の軽減を行うこと、保険料の負担増を抑えるため、大田区が都と国に対して必要な財源措置を求めることを求める陳情です。また、23第83号は、国民健康保険料の減免措置の拡大、値下げに関する陳情です。
今回の国民健康保険料値上げは、12万世帯のうち約4万人が経過措置の対象になっていますが、残りの世帯は、経過措置の対象になりませんでした。この間、85年から2011年まで15回も値上げしました。軽減措置をしても、まだまだ高い保険料であり、値下げを検討すべきなのです。大田区の国民健康保険料は、23区の統一保険料として提案されますが、各区の国保運営協議会に諮問し、各区議会で議決して決まるものです。払える保険料であることが何より重要であり、なんといっても国民健康保険は社会保障なのです。社会保障とは国と地方自治体で責任をもつということです。国庫負担率が1984年は49.8%の時は、1人当たりの保険料は平均39,020円でしたが、25%になった2007年は84,367円になり、国庫負担金が従来通りであれば、値上げは必要ありませんでした。国や都に対して財源措置を要請することも、必要です。区が一般会計から繰り入れているのは、社会保障としての国民健康保険にあっては、当然のことです。国保の減免措置も不十分であり、7世帯しか対象になっていません。会社都合で退職された失業者に、国保の軽減措置が取られましたが、22年度と今年度で4509人もあり、減免措置を拡大することは急務です。
区内の団体が申し入れた場合に説明会を、という要望には応えるべきです。
23第89号 は、地域経済の担い手として、日本経済の発展に貢献してきた中小業者の家族従業者の働き分が、所得税法56条により、「配偶者とその親族が事業に従事したとき、対価の支払いは必要経費に算入しない」こととされ、同じ仕事をしていて差別が生じる不公正な状態が戦後66年続いています。即刻廃止すべきこの不公正は、あきらかに個人の尊重をさだめた憲法第13条、法の下の平等を定めた第14条、両性の平等を定めた第24条にも反しています。すでに333自治体の議会が、全会一致で意見書を提出しています。国会でも、国務大臣が「所得税法第56条について、全般的に議論をして見直すのは意義がある」と答弁しています。家族従業者の賃金は経費が世界の流れです。
この請願の眼目は、「働いた分は認めてほしい」ということにあり、白色申告だからよい、青色申告だからよくないといっているわけではありません。議論の中で、家族従業者の86万円、50万円控除というのは間尺に合わない、これでは1人前の労働者として扱われないし、後継者ができないのはもっともであるという意見も出されました。必要経費にならないため、ベースアップをすることもできないという、これこそ、56条があるために強制されるのですから、廃止こそが合理的な選択です。この請願は採択して、モノづくりのまち大田区の中小企業、日本経済の宝である中小企業の家族従業者がいきいき働けるよう、意見書を提出して、議会が役割を果たすべきです。
23第84号は育鵬社の歴史、公民教科書の採択を見直し、再検討を要請する陳情です。
日本は過去に、台湾に対する植民地支配、朝鮮に対する植民地支配、中国に対する侵略戦争、そして東南アジアの国々を占領するなど、2000万人もの命を奪う大きな犠牲を生みました。
アジアの国の中で、このようにアジアの隣国に侵略戦争で攻め込んで、植民地にしたという歴史を持つ国は日本以外にはありません。
ところが育鵬社の教科書は、これらの侵略戦争を「自尊自衛」の戦争と描き出し、美化しています。
韓国併合についても「韓国の領土をロシアから守るために行った」と事実と違う記述をし、日本国憲法の制定はGHQに押し付けられたものとして否定しています。
また、エネルギー政策でも、福島原発事故が収束の目途もつかず、放射能汚染への不安も解決できない中、育鵬社は「原子力発電は原料となるウランをくり返し利用できる利点があり、重要なエネルギー源となる」と記述。原発の危険性を指摘し、「事故や放射能への不安から、原子力発電所の建設に対しては根強い反対運動がある」などとした他社の教科書とは大きな違いがあります。大田区教育委員会はこのような問題だらけの教科書を採択したのです。育鵬社版を採択したのは、東京23区では大田区だけ、全国でも582地区中13地区で約2%でした。過去の誤りに誠実に向き合い、その反省の上に平和と民主主義を理念とする憲法があることを学ぶことは、子どもが主権者として育つために不可欠です。
よって育鵬社の歴史、公民の教科書採択を見直し、再検討を要請する陳情は採択すべきです。
最後に、23第82号についてです。東日本大震災から6ヶ月がたちましたが、被災地では、9万人をこえる避難生活をされている被災者や、災害の爪あとが大きく残されています。また、自民・公明と民主による国保の値上げなど相次ぐ増税と負担増によって、区民生活はいっそう深刻になっています。
さらに、今年度、23区で海外視察は、予算化しても実施していない台東区を除けば3区で、その中で、すでに実施を決定しているのは大田区だけです。他の品川区(5年間中止)と目黒区(4年間中止)は検討中です。
今後、大田区では公共施設の老朽化により整備に多額の財政投入が予定されています。このようななか区議会議員が多額の公費を使って行なう海外視察については、「1人で勉強に行くのは大変だ」「海外に行った人と、いかない人は違う」「費用対効果が十分にある」という議論では、とても区民の理解が得られません。また、緊急に海外にいってまで視察する課題もありませんし、報告書の盗用問題も区民に説明がありません。大田区議の海外訪問を中止し、その費用を大震災の復興・救援にあてることを求める陳情を採択すべきです。以上で討論とします。

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