介護保険事業計画への提案


私は、介護保険の第7期事業計画について、要介護認定を身体・生活状況に応じて実施することについて、質問します。

第6期は、大きく変わった点で、要支援1.2の介護サービスが新総合事業に移行したことと、特養ホームの入所資格が要介護3以上になったことです。第7期はみなし措置で続けられた新総合事業が、いよいよ区の事業として始まることになります。区の事業で行われる介護は、資格を持つヘルパーでなくてもよいことになり、区の施設などを使ったデイサービスが主に行われることになります。そうなると、居宅サービスが大幅に縮小されてしまい、要支援者の在宅生活が困難になります。推定で7000人から8000人が、介護保険から外されることになりますが、制度で外された高齢者も、年々加齢が進むわけで、単純に「卒業させる」とはなりません。在宅での介護がますます困難になり、区は「必要な人には専門性を有したサービスを提供し、その他の多様なサービスも充実して選択でき、サービスの幅が広がります」としていますが、老人いこいの家で行われる体操事業は、一般介護予防事業であって、通所サービスではないので、あきらかに自立支援から後退することになります。いこいの家に行けない人は、そのサービスも受けられません。シニアステーションで行われる事業は、有料であったり、人数制限のサービスもあります。

新総合事業でサービスの後退は許されない

◆ みなし措置で行われたサービスを今まで通り、保険給付と同様に保障することが重要です。給付抑制と自己負担増で必要な介護サービスが削られることはあってはならないことで、「財政的インセンティブ」「我が事・丸ごと地域共生社会」の名で、自治体による強引な介護サービス取り上げや、福祉に対する公的責任が大幅に後退しないよう、従来の要支援12のサービスを保障することを求めます。お答えください。

要介護12の特養入所申込みについて

次に要介護12の特養入所資格についてです。特養ホームの待機者は52万人をこえ、行き先を探しているのが現実であり、医療・介護確保法で、病床削減の結果、介護保険制度は病床削減の「受け皿」にならないこと。特養に入所している要介護1、2の高齢者の6割は、その理由が「介護者不在、介護困難、住居問題」であることが、その時の厚生労働委員会で明らかになっています。   要介護3に入所が制限されると、特養の入所を待っている全国52万人の      3人に1人は「待機者」にさえなれません。大田区の待機者は、1500人前後で推移していたのが、1200人台とカウントされています。

特養ホームへの入所資格は要介護1・2でも、区は申し込みを受け付けるとして、「みんなの介護保険」には、確かに要介護1~5の人が申し込みができると書かれていますが、原則3~5の人が対象になることを小さい字で書いてあり、国の制度改変を反映させています。特例入所に入っていなければ、要介護12では申し込みができないと思う人も多いのではないでしょうか。実際、要介護2では申し込みができないと言われた家族もいます。全国施設長会議アンケートによれば、要介護1、2の申し込みは以前より減った56%、受け付けていない19%という結果です。厚生労働省はこの3月に、認知症、知的障害、精神障害や家族による虐待などが疑われる人は、特例入所を申し込んだときの施設の対応について定めた通知を、各自治体に出しました。しかし、要介護3以上とした後、特例入所を、国民の声に押されて認めるというのも、矛盾した対応です。

◆ 何より特養の入所対象をもとの要介護1以上に戻すよう、区として意見をあげるべきです。

介護ヘルパーの処遇改善を求める

この間、在宅の場合の居宅サービス時間が短くなったことや、処遇改善のための国庫支出がされ、次年度には利用料の中に組み込まれたこと、介護報酬が引き下げられたために、介護ヘルパーの離職が止まらない状況になっています。

大田区は、介護ヘルパーの処遇改善を求めた党区議団の予算要望について、3万7千円の加算の算定が可能になっていると回答していますが、5月25日参議院厚生労働委員会で、日本共産党の倉林議員が、介護保険の利用料を3割負担にする介護保険法等の改悪案の審議の際に、「政府が処遇改善加算で介護職員の賃金を「月4万3000円増やした」と説明していることについて、実際の基本給は約1万3000円しか増えていないと指摘し、厚労省の老健局長は「ご指摘の通り」と認めています。特に訪問介護にあたる介護ヘルパーの場合は、事業者に登録をして、個人事業主として働くことになります。介護離職や介護難民を出さないためにも、介護職員の処遇改善は重要課題です。

◆身分保障がない登録の介護ヘルパーの処遇は、高齢化社会を支える貴重な人材であり、改善する必要があります。施設職員の処遇改善も重要です。大田区としても、保育士と同様に、家賃助成や手当など、本人の口座に直接振り込むなど、処遇改善の手立てをとることを求めます。お答えください。

第7期の計画について

保険者である大田区はこの第6期計画の実施状況から、第7期の課題は見えてきたのではないでしょうか。今まで述べてきましたように、

◆ 高齢者と家族に安心と尊厳の介護を保障するうえで、第7期の介護保険事業計画の重点課題は、(1)特養の抜本的増設、(2)低所得高齢者の住宅問題の解決、(3)地域での暮らしを支える多様な介護基盤の充実、(4)要介護高齢者を支える介護職員の処遇改善をおこなうことです。お答えください。

要介護認定を生活・身体状況に応じて実施することについて

次に、要介護認定についてお聞きします。

要介護認定については、要介護高齢者の生活実態から支援内容の必要時間で割り出すという側面があります。その要介護認定が、生活の実態から離れすぎているというケースが見られます。アパート2階に1人暮らしの60代男性 は脳梗塞後遺症で右上下肢麻痺あり、右利きである為生活に大変不自由していますが、要介護2と判定されています。玄関は1階にあり、外出するには階段を昇り降りしなければいけない、しかも階段が急であるため危険な状況です。男性は「今介護度2で(限度額)いっぱいにサービスを入れているが、現状ではそれでも足りない。介護度を上げてもらうか何とかしてほしい」と要望しています。認知症が軽度に扱われることも問題になっています。高齢者本人と家族を支援するために行われる要介護認定が、生活実態に即しているのかは重要です。

◆ 区分変更申請が、介護度が上がって見直しをされるのは当然のことですが、より軽度に出てしまって生活上困難な事例は、1人暮らしの場合など特に大変です。身体・生活実態に見合った要介護認定をおこなうよう求めます。お答えください。

特養ホームの土地代補助について

最後に、特養ホーム建設についてお聞きします。今年度は、矢口3丁目に30床の特養ホームが6月1日に開所し、千鳥2丁目に84床の整備計画が進んでいます。党区議団が、気象庁宿舎跡地があると提案してきましたが、この場所にも、特養建設計画が進んでいるのはうれしいことです。区は、待機者数に見合った具体的な数の増設計画にすることを求めた党区議団の要望について、「利用状況等をもとに必要数の把握に努め、民間事業者による計画的な整備を進めます」と回答しています。計画的な整備は、民間事業者が行うものではなく、区が責任を持って数値目標を持つことで、実現するものではないでしょうか。区が行った高齢者の調査では、1.住み慣れた家で居宅介護サービスを受けたい、2.特養ホーム増設を希望する、3.在宅生活を続けるためにバランスよく居宅サービスも、特養もという要望がだされています。今月は大田区内のあちこちで、お祭りが行われていますが、祭囃子の聞こえる住み慣れた身近な所に特養を作ってほしいと要望が寄せられています。

◆ 東京都の民間事業者の土地取得への補助金が無くなりました。区立でも、また民間事業者が建設する場合も、東京都に対して用地費補助を要請すべきです。民間事業者を支援するだけでなく、区としても国有地や都有地の活用も含めて、借地でももちろんのこと、特養を建設すべきです。お答えください。以上で質問を終わります。

答弁は後日投稿します。私は、今回、区のこれまでの姿勢を明らかにして、転換すべきことを質問しています。介護職員の処遇改善は1万3千円の基本給アップを国が認めていますが、「処遇改善加算がされているので、上がっているはずである」といい、確認する手段を区は持っていないのです。介護保険は、本人と事業者が直接契約する形式になっているため、要介護高齢者と介護職員の処遇を客観的に見るものがありません。私は、登録制の派遣という働き方が、日本の労働基準を引き下げる役割を果たしていると思いますし、他の業種にも広がっていることを憂慮します。他産業と比べて10万円低い賃金で働く人たちに支えられる要介護高齢者の処遇も決して良いとは言えない。金のあるなしで格差のある老後、なんて貧しい国なのでしょう、とつくづく考えさせられます。病床削減をして病院から高齢者を締め出す、地域の介護保険制度で拾ってもらう、しかし要介護認定で、介護サービスを削り、介護度でサービスを削り、ますます受けにくくなる。自治体が行うサービスは資格のない人でも良く、有料でサービスを提供する、強引に自治体がサービスをはがすという地域包括ケアシステムは、とんでもない状況を作り出すことになります。大田区は優先入所を行ってきたので、要介護12の人にも入所してもらっているとのことですが、確かに「みんなの介護保険」には要介護1から5の人に入所資格があるとしていますけれども、小さい字で「原則12は入れません」と言って、国の制度変更を反映させています。これは大きい矛盾ですが、自治体が保険者である介護保険の性格を示したものです。自治体に住民要求を認めさせることはできるのです。国の言いなりにどんどん悪くなる、国が変わらなければどうしようもない、国家的詐欺の介護保険と思ってきましたが、区の姿勢を変える余地もあるのだ、ということを認識しました。

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