学校図書館法によれば、12学級以上の学校は、司書教諭を配置しなければいけないことになっています。そして、司書として発令されている担任の教諭は実際いるのです。文科省のHPには北海道から沖縄まで学校数と配置された教諭の数は出ていますが、実際には名前を登録するだけで、仕事を専任でできるわけではありません。そこで、自治体が独自に非常勤で司書を雇用するようにしたところがありますが、時給は1060円で働くには大変厳しい職場です。大田区には、名前だけの司書教諭の他は、実際のところいないわけです。
読み聞かせをするボランティアのPTAの活動も大事ですが、やはり専任の司書教諭を置くことも考えるべきです。司書教諭を都費で手当てをすると500万円に学校人数分とすると、大田区は4億4千万円になります。これを高いとみるかですが、将来の主権者をどう育てていくか、という観点でいくと、安いものではないでしょうか。
国庫支出金は425億円ですが、教育費には2億6千万円しかなくて、教育の機会均等という立場からは大変不公平です。地方交付金が出ない東京都はいつまでも遅れた状況でほっておかれます。ここも打開しなくてはいけません。
都政新報に、釜石市の釜石小学校校長先生が、「奇跡ではない釜石の軌跡」という記事が出ていました。184人の児童が全員無事だったこの学校の校歌は、「いきいき生きる」という題で、井上ひさしさんが作詞しています。
いきいき生きる いきいき生きる
ひとりで立って まっすぐ生きる
困ったときは 目をあげて
星を目あてに まっすぐ生きる
息あるうちは いきいき生きる
はっきり話す はっきり話す
びくびくせずに はっきり話す
困ったときは あわてずに
人間について よく考える
考えたなら はっきり話す
しっかりつかむ しっかりつかむ
まことの知恵を しっかりつかむ
困ったときは 手を出して
ともだちの手を しっかりつかむ
手と手をつないで しっかり生きる
こどもたちが守ったものは、自分の命だけではなく、友達の命、おじいちゃんおばあちゃんの命、兄弟の命をも守った。防災教育も行っていたが、子どもたち自身がその場で判断し、行動に移すという「心」が育まれていたのだ。(後略)
学校は、将来の主権者を育てる場所であり、読書をすることでも養われます。司書教諭がいるだけで、全部ものごとがかたづく訳ではありませんが、人類の知恵のひとつではないでしょうか。