6月20日に大田区議会の議会運営委員会が、海外視察の要綱を廃止し、親善訪問・調査に名前を変えて、どこへでも行けるように、共産党区議団の反対を押し切って採決しました。まず、17日に幹事長会に出され、少数会派には、事務局から話もない中で、20日にはもう採決をするあわただしさです。海外視察についての会派への意向調査では、まだ意見の集約もされていないのです。「賛成だが、海外視察ではいけない」という公明などが行けるように、親善訪問・調査という名前にしたとしか、思えません。親善訪問・調査なら、議運ではなく、幹事長会の申し合わせだけで決められるのです。その後本会議で議員の派遣を決めますが、採決をするだけですから、反対少数と見くびっているのです。
傍聴には15名ほどの方が来られて見守りましたが、「議員の資質を高めるのにワールド的に関心を広げることが必要だ」「他がみんなやめても、大田区は国際都市としてポテンシャルがあるから意義があるのだ」と自民党が珍論を吐いていて、思わず失笑も出る状況でした。公明党は「親善訪問・調査に変えて何も問題はない」、民主党は「海外視察も親善訪問も同じで違いが新人議員にはわからない」と容認していました。委員会後に税金の無駄遣いだと与党議員に抗議した人もいて、自民・公明・民主の企ては、すっかり足元を見られてしまいました。
幹事長会は、議事録を取らず、傍聴もできないいわば密室の会議ですから、合意ができなければ、全会一致にならない案件は出せないとすべきです。共産党や少数会派を排除して、委員長・副委員長を決めるやり方を踏襲するもので、かさねがさね、民主主義を踏みにじる、議会の自殺行為といわなければなりません。
7月20日の幹事長会で、この取り決めに基づいて、アメリカ・セーラム市、北京市・朝陽区、その他都市(海外視察バ-ジョンか?)視察で、セーラム市には8名、北京市朝陽区には8名、その他都市親善訪問調査には9名がそれぞれ会派から推薦されて名簿が出てきました。自民14名、公明7名、民主3名、みんな1名で、合計25名です。その他都市では1人当たり80万円を予定しているようですから、要項を廃止したねらいはここだったのか、とはっきりしてきました。区議会議員の半数が海外に親善訪問調査で出かけるなど、今の政治状況からはとても許されないのではないでしょうか。それこそ、まっさきに自粛すべきことではないでしょうか。区民の皆さんと力を合わせて、実施を見送りにするよう、がんばります。(7月21日)金子悦子