2016年第1回定例会代表質問


2016年2月25日に、日本共産党区議団を代表して質問をしました。2月19日に区長が所信表明を行いましたので、その内容と2016年度予算案について、質疑をしました。質問と答弁が離れていますので、答弁を先に載せ、続いて質問全文を載せました。

質問

戦争する国づくりへ加速状態になった安倍内閣に対し、大田区も意思表示をすべきである。憲法9条第2項を変えると、安倍首相が言い出したことを看過することはできないのでは。

 

答弁

憲法9条改正についてのご質問ですが、大田区は、「平和都市宣言」を行っており、平成26年度からは、8月を「平和強調月間」として様々な「平和関連事業」に取り組んでおります。本庁舎では、広島平和記念資料館から借用いたしましたパネルや資料の展示を行い、平和の森公園では、「地球歌の日コンサート」、「国際盆踊り大会」が行われました。平和都市宣言記念事業「花火の祭典」では、          昨年度は、田上長崎市長をお招きし、今年度は、広島・長崎市長からのビデオメッセージを上映させていただきました。大田区だけではなく、広く国内外の方と平和の尊さを考えさせていただいております。また、私は、平和首長会議にも加入し、多くの方とも平和について話し合い、平和の尊さと恩恵を考え、平和を願ってやまないことを、区民の皆様に対し、私の思いを伝えております。さらに、次世代に向け、平和な都市を築いていくことは、我々の最も重要な使命であるとも考えております。一方、現行憲法の制定から70年以上が経過し、様々な意見が展開されていることも事実でございます。その動向を注視してまいります。

 

質問

持続可能な社会保障のためとして、区長は増税が必要と答弁していますが、区民の暮らし・営業はもう限界です。持続可能な区民生活のために、消費税10%への増税を中止するよう政府に求めるべきです。

答弁

持続可能な区民生活のために、消費税10%への増税を中止するよう政府に求めるべきとのご質問ですが、社会保障制度改革推進法の定めによると、「国民が広く受益する社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点等から、社会保障給付に要する費用に係る主要な財源には、消費税の導入(収入)を充てる」とされております。今後、少子化・高齢化の進展に伴い、生産年齢人口比率の減少が予測される一方で、扶助費が増加し、さらなる財政負担の増大が見込まれております。そのため社会保障制度の安定財源確保は、重要な課題であります。地方消費税の引き上げ分は、地方税法により、「地域(社会)福祉・社会保険・保健衛生の施策に要する経費に充てるもの」と規定されています。平成26年度決算では、社会保障財源分として18億6,300万円余の歳入があり、平成27年度には、71億7,200万円余の歳入を見込んでおります。消費税を10%へ増税するにあたっては、食料品などの生活必需品の消費税率を低くする軽減税率の導入に向けた実質的な議論も開始されており、その動向も併せて見守る必要があるものと考えております。

 

質問

公共施設は住民の平等・無差別という利用原則があり、受益者負担の原則は適用されない。使用料値上げ条例は撤回すべき。

答弁

施設使用料に関するご質問ですが、施設の使用料につきましては、施設を多く利用する方と、利用頻度の少ない方との負担の公平性を確保する観点からも、利用する分(人)が応分の負担をすることによって、はじめて、利用しない人との負担の公平性が確保されることになります。これが受益者負担の考え方であり、施設の使用について、利用者すなわち受益者に応分のご負担を使用(料と)していただくことの根拠となるものでございます。そのため、区が施設をご利用になる受益者に応分のご負担を求めるためにも、使用料の算出根拠を明らかにする必要があると考えております。このような考えのもと、この度は、区が提供する施設サービスのコストを基に、一定の基準により、適正な受益者負担を目指して施設使用料の改定を行うものでございます。改定後は、減額になるもの、引き続き据え置くもの、増額になるもの、いずれもございます。なお、変更となる使用料につきまして、現行額と比較して25%を超える変動となる場合には25%を上限とした激変緩和措置を講じております。施設をご利用される方への配慮を組み込むとともに、受益者負担の適正化に向けた取り組みについては、今後も継続的に続けてまいります。

 

質問

この削減計画を撤回することです。非正規職員や業務委託は、区民サービスの低下をもたらします。非正規雇用の人を正規雇用にする事業に着手すべきです。

 

答弁

職員定数基本計画についての質問ですが、区は、健全な行財政運営を継続しつつ、おおた未来プラン10年(後期)の推進や新たな行政課題に対応できる体制を整備することを目指しています。そのためには、最少の経費で最大の効果を発揮できる効率的かつ効果的な組織を実現することが必要です。大田区職員定数基本計画では、行政のアウトソーシングなどを計画的に進め、これにより確保した人員を優先度の高い施策に振り向け、適正な職員配置に努めることとしています。また、民間の人材が有する専門性を活用することが効果的な業務について、その内容を十分精査した上で、必要に応じて、非常勤職員として雇用しています。今後も、アウトソーシングによる成果や非常勤職員が行う業務について十分な検証を行いつつ、その効果的な活用を図り、区民サービスの向上に努めてまいります。

 

質問

「新空港線がもたらす経済波及効果」を言いながら、そのために区民施策を切り捨てる手法は、区民の負担と犠牲を考えると到底賛成できません。区民の大事な職員と財政をつぎ込む蒲蒲線計画から撤退すべきです。お答えください。

 

答弁

新空港線についてのご質問ですが、新空港線が整備されることにより、糀谷、羽田地域と下丸子や調布地域などが鉄道で結ばれ、区内における東西方向の移動利便性が格段に向上いたします。また、鉄道整備に合わせて、沿線のまちづくりを進めることで、地域の活性化にもつながります。昨年実施した調査から、新空港線整備の経済波及効果は、区内において、建設投資と初年度の消費支出を合わせて1,400(億)円以上となり、新空港線の整備は、区内経済の発展にも大きく貢献する事業でございます。また、東急東横線や副都心線などとの相互直通運転により、副都心や埼玉県方面の各都市との新たな広域交通ネットワークが形成されるため、東京圏全体にとっても有意義な事業となります。このように、新空港線の整備は、区内の移動利便性の向上、まちの活性化と経済発展、そして広域交通ネットワークの形成など多方面に寄与する有益な事業となることから、引き続き、私が先頭に立ち、実現に向けて着実に取り組んでまいります。

 

質問

産業経済費は予算全体のわずか1.46%です。前年比2億8千万円増ですが、全数調査の結果に基づき予算を2倍3倍に増やすべきです。

答弁

産業経済費の平成28年度予算額に関するご質問です。平成28年度予算案では、様々な分野の産業振興を図るための予算を的確に計上いたしております。区はモデル商店街事業、景観整備事業、女性・若手チャレンジ事業、コミュニティ活性化事業、さかさ川通り支援事業、特区民泊支援事業、公衆浴場の運営事業、ものづくり工場立地助成事業、研究開発型企業等拠点整備事業、ものづくり企業立地継続事業、福祉用具試作事業、医工連携事業、創業支援事業、羽田空港跡地第一ゾーンの産業交流拠点整備事業などに取り組む経費を計上いたしました。公益財団法人大田区産業振興協会は、お土産100選表彰事業、商店表彰事業、繁盛店創出事業、フードビジネス支援事業、新製品・新技術開発支援事業、優工場表彰事業、大田の工匠NTG表彰事業、ビジネス(プラン)コンテスト事業などの経費を計上しております。このように商店街調査やものづくり調査を踏まえつつ、区内産業振興に必要な事業を推進するため、必要十分な予算を計上いたしております。

 

質問

国民健康保険料の徴収・差押強化について。東京都国民健康保険調整交付金要綱で、収納率向上の取組成績良好を配分基準として、交付金が交付されている。大田区は、2014年度、滞納処分の取組推進576万円を含む9283万円である。大田区は与(くみ)しないときっぱりとやめるべきです。

 

答弁

国民健康保険料の徴収についてのご質問ですが、被保険者の皆様にご負担いただいている保険料は、前期高齢者交付金・国の補助金・都の支出金などの公費とともに、国民保険事業に関わる保険給付を滞りなく行っていくための貴重な財源です。公平に保険料をご負担いただくため、特別区の保険料については、毎年度、所得割・均等割の割合・賦課割合の検討をはじめ、賦課限度額の改正や均等割軽減の拡大など、国の制度改正の動向を踏まえて検討を行っております。国保事業の貴重な財源である保険料の徴収が滞ることになれば、国保事業の維持運営にも支障が生じることにつながって参ります。保険料のご負担が厳しい方に対してはその状況を詳しくお聴きしながら納付相談を行い丁寧に対応しております。都の調整交付金は、このような保険料徴収に対する取組みに対して交付されているものです。保険料の徴収への取組みは、公平な負担を実現するためにも、保険者として進めて行かなければならないものです。

 

質問

国民健康保険の都道府県調整交付金。2年で3400億円であり、安倍首相が国保料の値下げにも使える、その額は一人当たり5000円程度であると答弁している。この調整交付金を値下げに使うべきと主張してきた。区長は、これに応えて、値下げすべきです。お答えください。

 

答弁

国民健康保険の保険者への支援金についてのご質問ですが国は、国保保険者への財政支援として、平成27年度1700億円を交付するとしています。内容は、均等割保険料5割・2割の軽減措置の拡大に伴い、区市町村の負担分が増えることに対する財政支援です。財源は消費税増税分を充てることになっています。国保の構造的な問題の解消に向け、国は、国保以外の他の医療保険者には補助率の引下げなど見直しを行う一方で、国保保険者に対しては財政強化を図り、国民皆保険の基盤である国民健康保険制度が将来に渡って持続できるよう支援を強化したものです。大田区国保では、平成26年度決算で約56億5千万円、加入者1人当たり約3万1千円を一般会計から国保特別会計に

投入し、保険料の負担を軽減しております。今後も、国の動向等を注視しながら国保事業の維持運営に努めて参ります。

 

質問

介護保険と同様に、特に保険料を払うと、受診できない境界層の人への限度額を下げるために使うようにできないのか、検討すべきです。

 

答弁

国艮健康保険料の負担についてのご質問ですが、国保は、被保険者が減少する一方で、医療の高度化で医療費が伸び続けており、被保険者の皆様にも一定のご負担をいただいております。国保には境界層措置はありませんが、国保の均等割保険料について7割・5割・2割を軽減する措置が設けられています。大田区国保では、国保加入世帯の約半分の世帯の方は、均等割国保(保険)料の軽減措置の対象になっております。平成28年度は、国の制度改正により、均等割5割・2割の軽減対象の方が拡大されています。また、特別区では所得割と均等割の割合・賦課割合は所得割58、均等割42とし均等割の割合を低く抑え、保険料負担の厳しい方に対して配慮をしております。

 

質問

都心上空に新たな空路を設けることについて撤回を国に要請することを求める。

 

答弁

羽田空港の新飛行ルートについてのご質問でございます。国による、羽田空港の機能強化の提案に関しましては、これまで3回に渡り、「首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会」が開催されているところでございます。この協議会の場において、大田区を含む、東京都をはじめとした関係区市は、東京都副知事、特別区長会会長を通じて、説明会の開催方法や区民への丁寧な説明、騒音影響の軽減方策の検討、徹底した安全管理に取り組むことなどを、国へ要請してきたところでございます。これまでも申し上げてまいりましたが、現在でもA滑走路北側離陸左旋回や、ゴーアラウンドなどにより、区民生活への騒音影響が生じていることから、区としましては、今回の国の提案は重要な問題であると認識しております。今後も東京都や周辺自治体と連携を取りながら、国と協議を進めてまいります。

 

質問

雑色駅前は公園にするなど、住民の要望によく耳を傾けて住民が住み続けられるまちづくりをすべきです。お答えください。

 

答弁

雑色駅前のまちづくりについてですが、雑色駅周辺地区では、地元の地権者と町会、商店街の皆様で構成される「雑色駅周辺まちづくり研究会」が平成15年7月に設立され、地域の皆様が、12年以上に渡りまちづくり活動に取り組まれております。同研究会では、これまで、地元区民の皆様を対象としたまちづくりに関するアンケートの実施や勉強会を重ね、その成果として「まちづくりガイドライン案」が策定(作成)されました。その後も、研究会の主催でガイドライン案の説明会を開催し、その中で多くの貴重なご意見をいただきました。区としましては、区民の皆様の意向が反映された、ガイドライン案を生かしながら、地域の皆様と協働して雑色駅周辺のまちづくりを進めてまいります。

 

質問

区政調査は毎年実施すること、2,000人から聞くという規模の小さいものではなく、対象を増やすこと、比較検討するため、継続的に同じ内容で            聞くこと、どういう町にしたいのか、区が誘導しない、そこに主人公としての区民がどうかかわるのか、という調査にするよう求めます。

 

答弁

区政調査に関するご質問ですが、区では、区民のニーズや意向を把握し、調査結果を施策の見直し等の基礎資料として速やかにかつ効果的に活用できるようにするため、今年度から世論調査を毎年実施しております。調査対象は、大田区に住民登録のある満20歳以上の男女2000人の方を対象としております。世論調査の規模としては、標本数・回収数・標本誤差から鑑みて有効であると考えており、調査結果は、今後の区政設計や方向性を検討する際の基礎資料として活用しております。設問につきましては、毎回30問程度で設定し、その中で未来プランのモノサシ指標の15項目について、継続的に設定しております。加えて、今年度は区の重要項目である、国際交流、防犯対策など新たな項目を加え、広く区民の皆様からご意見をいただいております。区は世論調査に限らず、日々の窓口対応や電話やメールなどでいただく区民の声を真摯に受け止め、区民が主役の区政の実現に向け、今後も引き続き取り組んでまいります。

 

再質問 1952

質問

憲法9条第2項についてどのように受け止めているのか。大田区が兵器廠と言われたその時期からたったわずか71年です。これも憲法9条第2項も守ると受け止めてよろしいのですか。

 

答弁

私は、就任以来、平和ということを区政の柱に据えてまいりました。平和の尊さと恩恵を考え、平和を願ってやまないことを、区民の皆様に対し、私の思いを伝えております。さらに、次世代に向け、平和な都市を築いていくことは、我々の最も重要な使命であるとも考えております。

 

質問

国保料で安倍首相の値下げができるという交付金について明確に値下げができるというようにお答えください。

 

答弁

平成26年度決算で約56億5千万円、加入者1人当たり約3万1千円を一般会計から国保特別会計に投入し、保険料の負担を軽減しております。今後も、国の動向等を注視しながら国保事業の維持運営に努めて参ります。

質問全文は次のとおりです。

2016年2月25日    日本共産党大田区議団 金子悦子

第1回定例会 代表質問  50分 質問時間33分 答弁17分

 

私は、日本共産党区議団を代表して、第1に、安保法制を廃止し憲法9条を守る区政に、第2に2016年度予算を区民の暮らし・福祉第1に転換する区政について、第3に命と健康を守る国民健康保険制度について、第4に羽田空港新飛行経路の撤回について、第5に住民が主人公のまちづくりをどう進めるかについて質問します。

まず、第一に、安保法制を廃止し、憲法9条を守る区政についてです。昨年は、国民の大きな反対運動があったのに、戦後最悪の違憲立法である安保法制が強行可決されましたが、安倍内閣の暴走を許さないと、むしろこのたたかいを通じて、日本国民が大きく変化した年になりました。国民1人1人が、主権者として、自分の頭で考え、自分の言葉で語り、自分の足で行動する自由で自発的な戦後かつてなかった新しい国民運動と、国民世論が形成されています。日本国憲法に70年前に刻まれた平和や民主主義の理念が、このたたかいを通じて国民に深く浸透し、いま豊かに力を発揮しています。2月19日には、民主党、共産党、維新の党、社民党、生活の党の5野党党首会談が行われ、「安保法制廃止、集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回」を共通の目標とすること、国政選挙で選挙協力をすすめることなど4項目を確認しました。「野党は共闘」の国民の声に応えた画期的な情勢の発展です。しかし、一方で、安倍政権は、武器輸出3原則を廃止し、安保法制を強行採決したのちに、2016年度防衛予算案に5兆円以上もつぎ込むことは、大田区の工業にも影響が出てくるのではないでしょうか。2016年2月の区報に、航空機を作る大田区内の企業が紹介されています。自動車の部品が2万から3万個であるのに対して、航空機は100万個も必要で、大田区の優れたモノづくりの技術が高く評価されているとのことです。昨年末にミツビシリージョナルジェット(MRJ)が試験飛行に成功したと大きな話題になっていましたが、国産初の戦闘機・ステルス実証機[X-2]が1月28日、同じ三菱重工業の小牧南工場で、報道陣に公開されたということです。MRJを作る傍らで戦闘機も作っていたのか、と驚きました。

来年は、大田区創立70年の節目の年です。大田区史を見ますと、「昭和19年(1944年)8月に軍需省総動員局が発行した極秘印のある『防空法施行令第16条の4による軍需大臣指定工場事業名簿』によれば、東京都内で掲載されている695工場・事業場のうち、大森蒲田両区で172、都内全数の24.7%を占めている。すなわち都内の4分の1の軍需工場が現大田区域に立地していたわけで、文字どおり「兵器廠(へいきしょう)」の街としての景観を示していたといえよう」と書かれています。

都内有数の兵器廠が空襲により壊滅した戦後から、大田区の工業は、平和産業でなければならないとしたことが、戦後の新しい出発点だったはずです。わずか71年前のことです。大田区を再び戦争のための兵器廠にしてはいけません。そのために、大田区は平和都市宣言をしたのではありませんか。

◆戦争する国づくりへ加速状態になった安倍内閣に対して、大田区も意思表示をすべきです。「国の専管事項」として、区長が何も言わないのは、区民に対しての責任放棄ではありませんか?特に憲法9条第2項の「陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権はこれを認めない」を変えると、安倍首相が言い出したことを看過することは、区長もできないはずです。平和への決意を明確にお答えください。

次に、区民の暮らしを守るためにも消費税増税に反対することです。消費税は14年4月から8%への増税で、深刻な影響を及ぼしています。このうえ、10%に増税されたらとてもやっていけないと、区民が悲鳴を上げています。内閣府が2月15日発表した2015年10月~12月期の国内総生産GDP速報値は、物価変動の影響除いた実質で前期比0.4%減、年率換算1.4%減となりました。マイナス成長は2四半期ぶりで、個人消費の大幅な落ち込みが最大の原因です。内需の冷え込みが景気悪化を招く安倍政権の経済政策(アベノミクス)の悪循環が鮮明になってきました。

2月16日の総務省の労働力調査詳細集計では2015年10月~12月期に正社員は23万人減り、非正規雇用は172万人増え、労働者に占める非正規の比率は、35.6%から37.9%に上昇しました。安倍政権の3年で、「高い賃上げを実現した」といいながら実質賃金はマイナス5%と下がっており、日本の相対的貧困率は16.1%で、OECD34か国で上から6番目と、国民の多くが突然貧困に陥る危険と隣り合わせで生活している現状です。そういう時に、安倍政権の来年4月からの消費増税は、軽減税率といって食料品など1部を8%に据え置き、その他全部を10%に引き上げる増税で、1世帯平均67000円の負担増になります。

日本共産党は、貧困からの脱却は、全国民に健康で文化的な最低限度の生活を保障した憲法25条の要請であるとともに、家計という経済の最大のエンジンをあたためて、経済の好循環を生み出すカギになること、あらゆる経済政策の基準に、貧困と格差の問題を据えるべきとして、日本経済再生へ提案を行っています。その大きな柱は、消費税10%増税の中止、庶民から増税で吸い上げ大企業に減税をばらまく逆立ち税制を抜本から改める、社会保障削減から充実への転換、安心の社会保障を実現する、非正規から正規への転換、長時間労働の規制など人間らしく働ける雇用のルールを作るなどです。

この政策を実施するには、自民党政治とはきっぱり対決することになります。

◆持続可能な社会保障のためとして、区長は増税が必要と答弁していますが、区民の暮らし・営業はもう限界です。2015年4月から6月の四半期ごとの景況調査のコメントに「個人客主体の飲食店の為、消費税率アップがそのまま売上にマイナス影響。税率アップにより顧客層の財布の紐が更にきつくなり、加えて税込で同売値にしても売上が更に悪化。仕入は税率アップ分、現金支出が増加。更に食料品は輸入品が多く、円安で値上」ともうやっていけないと述べています。持続可能というなら、区民の生活や営業を守るために、消費税10%への増税を中止するよう政府に求めるべきです。お答えください。

 

次に2016年度予算について、質問します。

一般会計予算案の規模は、2573億6千万円余で前年度比72億円、2.9%の増

額で過去最大の規模となりました。2015年7月に出された2016年度の予算編成 組織、職員定数の基本方針について、両副区長名の通知では、「区民ニーズに対応するため、計画の前倒しや早期実施も視野に入れるなど、時機を捉えた施策展開が求められる」として、「限りある資源である、ヒト、モノ、カネについて、成果達成の視点から『選択と集中』を徹底する」ことが挙げられていました。

新年度予算には、私立認可保育所7か所開設・整備、出産・育児支援事業、子育て支援遊び場事業、学校図書室に読書教育司書(小中学校)を30校に配置する、スクールソーシャルワーカーの増員、住宅リフォーム助成が5000万円に、障がい者緊急入所施設の新規建設、特養ホーム(矢口、千鳥2か所)、認知症高齢者グループホーム整備費補助、小規模多機能型居宅介護事業所整備費補助、24時間AED設置補助、分譲マンションの耐震アドバイサー派遣の充実、繁盛店創出事業に改装も対象に等、党区議団の提案や区民の声に応えたものであり、評価できます。

しかし、予算案の第1の問題点は、区民へさらなる負担増と施策の削減を進めていることです。使用料については20件の議案が出されています。集会室・会議室などなかなか希望の日に取れないと会議室不足が問題になっている時に、受益者負担の原則から、これまで施設使用料の基準を定めてこなかったという理由を付けて、約8割の使用区分で施設使用料が、大幅値上げとなります。866の使用区分のうち値上げ686(79.2%)、でほとんど値上げとなります。2014年度ベースで2100万円の負担増です。その上4年ごとに見直しを行うというのですから、許せません。

公の施設は、地方自治法244条第1項、「住民の福祉を増進する目的を持ってその利用に供するための施設」と規定されており、住民の日常生活に欠くことのできない施設として、地方自治体が設置しなければならない義務となっています。よって、住民がなにびとも平等に利用することができるという基本点が明らかにされており、公共施設は住民の平等・無差別という利用原則があり、受益者負担は適用されません。

◆地方自治法244条1項の精神に立ち返り、公共施設の使用料値上げ条例は撤回すべきです。お答えください。

さらに今後の計画として、大田区保育園・学童保育保育料検討委員会が3月に出す「保育料(保育園・学童保育)の適正なあり方に関する報告書(案)では、「0歳児は経費が60万円を超えており、1,2歳児の2倍以上かかっている。このような状況を踏まえ、0歳児の保育料のあり方について見直す必要がありますとして、0歳児の保育料の大幅値上げを検討しているのは重大です。

また施策の削減では、耐震改修促進事業の耐震診断・改修助成の5億円の削減や多くの区民の利用を目的にするためというなら予算を増やすべきところ、指定保養施設の1泊2000円を現在の1回2泊3日、年間6泊7日を1泊2日まで利用制限をしようとしています。70歳以上のすべての高齢者に支給される「いきいき高齢者入浴事業」は手続きの変更で、高齢者の自然増があるにもかかわらず、前年度から3000万円・3割も減らしています。

区民の健康の面でも、基本健康診査1400万円の減で、国保・後期追加診療82400人から80300人へ、39歳以下の区民健康診査3800人を3620人へ前年度予算を下回っています。

区民の施策を切り捨てながら、自治体本来の役割を投げ捨てようとしています。区民施策削減をやめ、区民応援すべきです。

◆産業経済費は37億8千万円余で予算全体のわずか1.46%です。前年比2億8千万円余増ですが、創業者支援の充実1億円、産業プラザの改修費1億8千万円余増に過ぎず、従来の施策にとどまっています。全数調査を活かし、予算を2倍3倍と増やすべきです。お答えください。

第2の問題は、民間委託や指定管理者制度で、民間にできることは民間にと職員削減をすすめ、官製ワーキングプアを増やしていることです。今定例会に職員定数条例改正案が出されていて、46名の削減になっています。大田区職員定数基本計画では、2014年度から2016年度までの3年間で、職員の削減目標を220人程度としています。

◆この削減計画を撤回することです。非正規職員や業務委託は、区民サービスの低下をもたらします。非正規雇用の人を正規雇用にする事業に着手すべきです。憲法13条を、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」ことを公務員は、区民のために守ることを根幹に、区政の転換を求めます。

第3の問題点は、東京オリンピック・パラリンピック開催を契機に、「国際都市おおた」の実現、次世代に「夢と遺産(レガシー)」を残す取り組みで、大規模開発推進となっていることです。世界と地域をつなぐ「HANEDA」で、「新産業創造・発信拠点」を形成するとして、国家戦略特区制度を活用すると、6千万円を計上していますが、区内中小企業の活性化にはつながりません。

京急蒲田、糀谷駅前再開発で、もともと住んでいた住民が4割しか残れないまちづくりに多額の税金投入し、さらに京急駅周辺まちづくりに6億3千万円余が計上されています。

JR蒲田、大森駅周辺のまちづくりでは、蒲田駅周辺中長期整備推進業務委託で、駅周辺街区の共同化や建て替え支援を行うことにより、住民追い出しにもなりかねません。

新空港線・蒲蒲線は昨年7月、東京都が「広域交通ネットワーク計画に関するまとめ」で、「整備について優先的に検討すべき路線」の5路線に入らず、半ば破たんしているにもかかわらず、更に5億円積み立て、合計25億円の積み立てになります。当初の蒲蒲線から新空港線になり、羽田空港から渋谷、池袋・埼玉から直行、相互乗り入れにより、利便性・時間短縮を目玉にしていますが、多額の費用をかけてフリーゲージトレイン方式でなければ運行できません。しかし、2月24日の朝日新聞の報道でも、国交省は長崎新幹線のフリーゲージトレインの開発が大幅に遅れ、当初開業時期2022年度の全面開業は困難になったと公表しました。今後いつ日本国内でフリーゲージトレイン方式で運行されるかわかりません。積立金25億円は、区民の切実な要求がある、保育園や特養ホーム建設などに取り崩して使うべきです。

◆大田区は、このすでに破たん明瞭な蒲蒲線計画から撤退すべきです。

次に命と健康を守る国民健康保険制度についてです。

松原区長は、先の定例会で、国の「経済見通しと経済財政運営の基本的態度」「東京都内経済情勢報告」「月例経済報告」に加え、区内の景気動向や指標を参考に、経済の見通しと区財政への影響などを想定しておりますと答弁していますが、区民の生活状況を見るのに、区民税や国民健康保険料などの滞納状況、生活保護受給者、就学援助の受給者の動向が、一番注視すべき指標ではありませんか?

日本共産党区議団は、1月に区長会が開かれ、国民健康保険料の値上げ案を了承したことを受けて、2月2日に国民健康保険の値上げなどについて「1昨年4月の消費税増税、実質賃金の低下、消費の冷え込みの中でこれ以上の負担増は、看過できない」と区長に対して緊急要望を行いました。

2月4日に値上げのための国民健康保険条例の改正の諮問がされた、国民健康保険運営協議会では、「特定健診の受診者が23区で最下位であり、逆に医療費総額は、23区で第1位である」と指摘されていました。検診の受診率が下がれば、医療費が上がるというのは常識です。総医療費に応じて、保険料が決まる現在の国保制度では、際限なく保険料が上がり続けることになり、国庫支出金や補助金を実態に見合って、50%に戻す手立てが取られなければ、皆保険の基が壊れることになります。

昨年の値上げは、平均で3442円という説明でしたが、区の担当窓口には12000人を超える方からの問い合わせや怒りの声が寄せられました。2016年1月現在の滞納者は111809世帯中の39654世帯、短期保険証発行3754世帯 資格証発行594世帯という状況からは、値上げやむなし、とは到底言えない状況です。

しかも今回の値上げ予定は、平均4644円、年額で平均11万1189円にもなるすさまじい内容です。実質賃金が上がらない、年金は削られる状況で、この11年間で、1.42倍とは他の保険料と比べても高すぎるものです。

国民健康保険料については、各地で、人権無視の国保料の徴収・差押強化が「生活費の預貯金が差し押さえられた」「徴収に応じて保険料を納めたため、お金が無くなり、生活できない」など生存権を脅かす深刻な事態が生まれています。この徴収・差し押さえの背景には、東京都が「平成27年度(2015年度)東京都国民健康保険調整交付金交付要綱」で、「収納率向上に関わる取組成績が良好であること」を配分基準とし、徴収・差押強化の成果に応じて、交付金を加配する事実上の「報奨金」を制度化しているという驚くべき事態がすすんでいます。2014年度に、東京都から交付金の内訳書が届いていますが、滞納処分の取組推進576万円を含む9283万円を大田区は受け取っています。この結果、差押211件、差し押さえようとしたが、差し押さえる財産がなくて執行停止2106件という実態で、差し押さえ件数の10倍です。

◆このようなやり方には、大田区は与しないときっぱりやめるべきです。

国が支出する国民健康保険の「都道府県調整交付金」は2年で3400億円であり、小池参院議員に対して、安倍首相が国保料の値下げにも使える、その額は1人当たり5000円程度であると答弁しています。

◆共産党区議団はこの調整交付金を値下げに使うべきと主張してきました。区長は、これに応えて値下げをすべきです。お答えください。

◆その上で、特に保険料を払うと,生活保護基準以下になる境界層措置を介護保険同様におこなうよう、検討すべきです。

つぎに羽田空港新飛行経路の撤回について、お聞きします。羽田空港機能強化という名前の、都心上空に新たな空路を設けること、増便することに、区としてきっぱり反対の意思表示をすべきです。大田区民にとっては、安全が損なわれる重大問題であること、そもそも、大田区議会が羽田空港の撤去決議を行ったことで、沖合へ移転することになった経過があり、海側から出て海側から入るという協定が国土交通省・航空局との間で結ばれており、2010年のD滑走路供用開始の時に再確認がされています。オリンピックや経済問題だけを理由に、増便が必要、都心上空を飛ぶという約束違反を、都民・区民に押し付けようというのですから、とんでもないことです。古くは戦前の墜落事故や、東京湾に全日空機が墜落したことなど、語り継がれており、何より1945年9月の48時間強制退去は、空港のある大田区民が忘れてはならないことです。

いままで飛行経路になったことのない江東区など、撤回させようと運動が起きています。品川では、大井町で大規模な署名運動やパレードなど、八潮団地の人々など、ふたたび騒音と落下の危険が来ると大きな運動になっています。

◆区長会は、区民に丁寧な説明を求めているだけで、都心上空を飛ぶなということを主張していません。都心上空に新たな空路を設けることを撤回せよ、とあらためて、区長に国に要請することを求めます。お答えください。

次に住民が主人公のまちづくりをどう進めるかについてです。

雑色駅前の旧出張所の解体工事の説明がされ、その後はどうなるのか、と関心の声が出てきました。予算でものべましたが、京急蒲田駅前や糀谷駅前開発のように、住民追い出しにならない、大手デベロッパーの利益誘導型にすることはやめ、くれぐれもあわてて、まちこわし、住民追い出しにならないよう、求めるものです。地元商店街が、補助道路を拡幅しないようにと、寄付を募ってアーケードを作ったといういきさつがあり、まちづくりには、多くの人々の思いや願いが寄せられます。区民が住み続けられるように、抜本的にやり直すべきではないでしょうか。車が入らずに、道路を拡幅せずに買い物の利便を図るまちづくりをすべきです。再開発をしたら、商店街はなくなってしまうという意見もあります。雑色駅前再開発は、なかなか進まないので、補助金はカットされ、予算の500万円は区の自主財源ということです。これは急激な変化が望まれていない状況です。

◆住民の要望によく耳を傾けて、住民が住み続けられる、まちづくりをすべきです。お答えください。

この機会に、大田区政調査のあり方について、お聞きします。大田区政の調査を読むと、区民が主人公の町づくりを進めるのに、どう大田区が支援するのかという視点が、全くないことに気がつきました。そもそも、自治体の主人公は、住民ではありませんか?大田区に住み続けたい人が8割を超えることを、最大の評価としていますが、調査の仕方は、いろいろメニューを示して、これがいいですか、あれがいいですか、と聞いています。

住民の意思があれば、こういうまちづくりもできます、という地区計画などをしめすことも必要です。マンション建設問題があって、建築相談に持ち込むと、地区計画を作っておけばよかった、といわれても間に合いません。建築基準法が変わり、規制緩和が進んで、建設がどんどん進められるようになっていくと、低層住宅地域も、マンションが林立し、3階建ての建売住宅が、ずらっと並び、景観も大きく変わっていきます。大田区は、後期未来プランを進める中で、「透明性が高く、区民の多様な意見を活かす区役所をつくります」として、「区民の区政参画機会の充実として、区政に対する区民意見を聴取する、区政に関する世論調査を実施する」と述べています。

◆区政調査は1年おきに行うのを、毎年実施すること、対象は2000人となっていますが、対象を増やして、多くの区民の意見を集約すること、比較検討するため、継続的に同じ項目で聞くこと、どういう町にしたいのか、区が意図的に誘導しないこと、そこに主人公としての区民がどうかかわるのか、という調査にするよう求めます。以上です。

 

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